ロベール・クートラス 僕は小さな黄金の手を探す


  

   会期: 2016年3月12日(土) -2016年9月6日(火)


フランス・パリ生まれの画家、ロベール・クートラス(1930-1985)。当時「現代のユトリロ」、「第二のベルナール・ビュフェ」として売り出されたこの画家は、流行に左右される美術界での活動に苦しみ、画廊を離れ困窮の中で制作することを選びます。画家がその生涯をかけて描いたのは、小さな紙片を独自の神話のイメージや抽象的な模様で彩ったカルト、人間と動物の間のような生物が佇む静謐なグアッシュといった、一見ユーモラスな中に静かな悲しみを湛えた作品でした。画家を捉えていたのは華やかな美術界の流行よりもむしろ、石工として働いた青年時代に育まれた中世の職人世界への憧憬、パリの街角に暮らす人々や動物たちの生活、古きフランス人の精神が宿る民衆芸術といった、長い時間が醸成したものだったのです。 2015年に没後30年を迎え、フランス・日本で続く回顧展により再評価の流れにあるクートラス作品。本展ではこの流れを受けながらも、リヨン時代の初期油絵から制作の様子が伝わる資料まで、未公開のものも含む多彩な作品を構成します。深い部分で私たちをとらえ続けるクートラスの創造世界をご覧ください。

展覧会のみどころはこちらから


《僕の夜のコンポジション》 油彩 1973年
 
《僕のご先祖さま》グアッシュ 制作年不詳
撮影 片村文人


関連イベントご案内

会期中、美術史、デザイン、建築、音楽など、さまざまな分野の方々とともにクートラスの魅力を探ります。

会場:イベントごとにご確認ください
定員:会場により異なります
ご参加にはお申し込みが必要です。ベルナール・ビュフェ美術館までお申込みください。
電話:055-986-1300


クレマチスの丘ホールは、「クレマチスガーデンエリア」にあります。
本企画展会場であるベルナール・ビュフェ美術館との間はバスでの移動が可能です。 クレマチスの丘ご案内はこちらから


ご予約が定員に達しましたので、以後キャンセル待ちのみ受付いたします(7/11)
2016年8月27日(土)18:00- (17:00開場)
クロージングコンサート

阿部海太郎氏(作曲家)

場 所:ベルナール・ビュフェ美術館大展示室
定 員:100名
料 金:3,500円(入館料を含む)
お申込みが必要です。ベルナール・ビュフェ美術館まで


      

阿部海太郎

撮影 三田村亮

クートラスは音楽を愛し、ハンガリーの音楽グループのレコードジャケットやポスター制作も手がけていました。様々な分野にわたり独自の音楽表現を追求されている阿部さんによるクロージングコンサートは、時を超えてクートラスに捧げるようなものになるでしょう。


阿部海太郎(あべ うみたろう)
1978年生まれ。作曲家。幼い頃よりピアノ、ヴァイオリン、太鼓などの楽器に親しみ、独学で作曲を行うようになる。東京藝術大学と同大学院、パリ第八大学第三課程にて音楽学を専攻。音楽理論や音楽史を独自に解釈し、自由な楽器編成によってユニークな音楽世界をつくり出す。蜷川幸雄演出作品の劇音楽を度々担当しているほか、テレビや映画、他ジャンルのクリエイターとの作品制作など幅広い分野で作曲活動を行う。現在放送中の『日曜美術館』(NHK)、『世界で一番美しい瞬間』(BSプレミアム)、『W座からの招待状』(WOWOWシネマ)のテーマ曲を担当。『パリ・フィーユ・デュ・ カルヴェール通り6番地』(2007年)、『シネマシュカ、ちかちかシネマシュカ』(2012年)、文化施設「クレマチスの丘」のために作曲した曲を収録した『The Gardens -Chamber music for Clematis-no-Oka』(2013年)など、これまでに5枚のアルバムを発表している。www.umitaroabe.com



好評終了
2016年3月12日(土)13:30 ‐ 15:00
オープニングトーク 「クートラスの思い出、その続き」
岸真理子・モリア氏(クートラス遺作管理人)
佐伯 誠氏(文筆家)
橋場信夫氏(画家)

場 所:クレマチスの丘ホール
定 員:200名
料 金:無料


クートラス作品への「入門編」として、ご友人同士であり、クートラス作品の紹介者である三人の方が画家への親しみを込めて紡ぎだす言葉から、画家が愛した人々や街、フランスの習俗といった時代の匂いや手触りを共有し、クートラスの世界を覗きます。



岸真理子・モリア(きし まりこ もりあ)
1977年に日本の画廊のパリ支店で働くため渡仏。同年クートラスと出会い、晩年をともに過ごす。クートラスが遺言で指定した「包括受遺者」。本人が売ることも散逸させることも許さず、「Réserve du patron(親方の獲り分)」と呼んだリザーブ・カルトを含め、作品を保管している。著書『クートラスの思い出』(リトルモア、2011)。『ロベール・クートラス作品集 僕の夜』(エクリ、2010)、Le Monde de Robert Coutelas (Fondation Jeanne Matossian, 2012)、『ロベール・クートラス作品集 僕のご先祖さま』(エクリ、2015)、『夜のギニョール劇団』(リトルモア、2015)などにテクストを寄稿。現在パリ郊外在住。




写真提供:新潮社「芸術新潮」
撮影:筒口直弘
佐伯誠(さえき まこと)
エディター、ライター、インタビュアー。イラストレーションも手がける。2009年より、文化学院の文芸科講師。鎌倉のcafeエチカにて『小学エチカ』を千田哲也と共に主宰。「第一発見者」たることを心がけて、ロベール・クートラスやPOSTALCOなど、原石をみつける「源・編集」をモットーにしている。ANA機内誌『翼の王国』、『high fashion』(文化出版局)などで連載。新聞形式のマガジン『スタヂアム』刊行、ポスター形式の書評誌『book the knife』などを企画刊行。『FISH MOUTHS』(エクリ、2008)編集、訳書にエリザベス・マシューズ著『COCO(ココ)はとびきりかわったコ』(イプシロン出版企画、2008)がある。クートラスに関するテクストには、「からっぽのトランク 夜の旅の果て」(『翼の王国』、ANA『翼の王国』編集部、2005年5月号、56~65頁)、「クートラスの火種」(『クートラス・ジャーナル』、エクリ、2010、 4~7頁)などがある。



撮影 kaako


橋場信夫(はしば のぶお)
東京生まれ。画布や板の上に金泥や白金、鉄など様々な素材を用いて静謐かつモダンな作品を作り出している。現代的な「和」の洗練された作品は、外務省や有名料亭、旅館、ホテルなどに数多くコレクションされ、2000年の沖縄サミットでは迎賓会場の為に作品制作を依頼されるなど、幅広い分野の支持と高い評価を受ける。クートラスとは1978年にパリで出会い、交流を深めた。近年の展覧会では、国際コンテポラリーアート(1993-95、03)、ハイアットリージェンシー大阪アートプロジェクト(1994)、「空間 沈黙の風景」展(高岡市美術館、1995)、グランドハイアット福岡アートプロジェクト(1996)、沖縄サミットの為の作品制作(首里城、2000)、個展(アサヒギャラリー、2010)などがある。

 





好評終了
2016年5月29日(日)13:30 ‐ 15:00
特別講演「クートラスとロマネスク美術」

金沢百枝氏(ロマネスク美術研究者)

場 所:クレマチスの丘ホール
定 員:200名
料 金:無料

中世ロマネスク建築聖堂の修復現場で石工として働くクートラスをとらえたのが、現代の人々の心にまで深く届く作品を残した、中世の名もなき職人たちが創りだす世界でした。クートラスの憧れた中世世界の美術と、そのクートラス作品への影響について伺います。




金沢百枝(かなざわ ももえ)
1968年生まれ。美術史家。東海大学文学部ヨーロッパ文明学科教授。東京大学大学院理学系研究科、東京大学総合文化研究科博士課程修了。理学博士・学術博士。専門は西洋美術史、特にロマネスク美術。2011年、島田謹二記念学藝賞受賞。著書『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』(東京大学出版会、2008)、『ロマネスク美術革命』(新潮選書、2015)。共著に『イタリア古寺巡礼―ミラノ→ヴェネツィア』(小澤実共著、新潮社、2010)、『イタリア古寺巡礼―フィレンツェ→アッシジ』(小澤実と共著、新潮社、2011)、『イタリア古寺巡礼 シチリア→ナポリ』(小澤実と共著、新潮社、2012)。『すばる』(集英社)では隔月で展覧会評を担当。青花の会(新潮社)主催の講座「キリスト教美術をたのしむ(旧約篇)」を毎月、池袋・明日館にて開講。工芸青花HPにて「キリスト教美術をたのしむ(新約篇)」を連載。『工芸青花』(新潮社)でロマネスク美術について連載中。






2016年7月3日(日)13:30 ‐ 15:00
特別トーク「“小さな黄金の手”をめぐって」
好評終了

中村好文氏(建築家、レミングハウス)
皆川 明氏(デザイナー、ミナ ペルホネン)

場 所:クレマチスの丘ホール
定 員:200名
料 金:無料


クートラスは、フランスの人々の生活に密着し、その記憶を染み込ませたようなアール・ボピュレール(民衆芸術)と呼ばれる古い日用品や絵を愛し、作品にも取り入れました。作品と日常が地続きであったクートラスの制作について、ともにクートラス作品に親しみ、人の暮らしを中心に据えた制作を行うお二人の視点から語っていただきます。



中村好文(なかむら よしふみ)
1948年千葉県生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒業。宍道建築設計事務所勤務の後、都立品川職業訓練所木工科で家具製作を学ぶ。吉村順三設計事務所勤務(1976~80)。1981年レミングハウス設立。日本大学生産工学部建築工学科教授(1999~)。1987年「三谷さんの家」で第1回 吉岡賞受賞、93年「一連の住宅作品」で第18回吉田五十八賞「特別賞」受賞。主な作品に、「上総の家Ⅰ、Ⅱ」(千葉県、1991/1992)、「museum as it is」(千葉県、1994)、「Rei Hut」(栃木県、2001)、「伊丹十三記念館」(愛媛県、2007)など。著書に、『住宅巡礼』(2000)、『住宅読本』(以上新潮社、2004)、『普段着の住宅術』(王国社、2002)、『中村好文 普通の住宅、普通の別荘』(TOTO出版、2010)、『暮らしを旅する』(KKベストセラーズ、2013)など。共著に『とんぼの本 フランス ロマネスクをめぐる旅』(木俣元 一共著、新潮社、2004)がある。






皆川明(みながわ あきら)
1967年東京生まれ。文化服装学院夜間部卒業。1995年にファッションブランド「ミナ(minä)」を設立(2003年に「minä perhonen」に名を改める)。ものづくりに精力的に取り組む姿勢と、手を動かし描かれる、詩情を込めた図案の独創性から、テキスタイルデザイナーとしても知られる。デンマークのテキスタイルメーカーkvadrat(2006年~)や、英国LIBERTY(2010年)、スウェーデンのKLIPPAN(2013年~)などへ、デザインを提供。2004年以降、ダンス公演の衣裳や舞台美術にも参加するほか、東京スカイツリーや金沢21世紀美術館のスタッフユニフォームをデザインするなど、活動を広げている。主な著書に『皆川明の旅のかけら』(文化出版局、2003)、『ミナを着て旅に出よう』(DAI-X出版、2003、口述著書)、絵本『はいくないきもの』(クレヨンハウス、文:谷川俊太郎氏との共著)がある。ブランドとしての主な展覧会に「粒子exhibition of minä's works」(スパイラルガーデン、2002)、「minä perhonen fashion&design」(TextielMuseum, オランダ・ティルブルグ、2009)「ミナ ペルホネン展覧会 進行中」(スパイラルガーデン、2010)、「1ミナカケル ミナ ペルホネンの今までとこれから」(長崎県美術館、2015)などがある。現在、多摩美術大学美術学部生産デザイン学科客員教授も務める。




撮影 L.A.TOMARI


   ■展覧会関連作品集のご案内

   

待望の作品集
『ロベール・クートラス 僕は小さな黄金の手を探す』
2016年4月、NOHARAより刊行されました。

クレマチスの丘各ショップTREEHOUSE、NOHARA、およびオンラインショップNOHARA BOOKSでも取り扱っております。

展覧会と連動して、豊富な作品図版と多彩な寄稿文でクートラスの全体像を浮き彫りにする作品集です。
油絵・カルト・グアッシュ・彫刻・デッサン作品、約160点を収録。

[寄稿]
岸真理子・モリア(クートラス遺作管理人)
杉戸洋(美術家)
堀江敏幸(小説家、フランス文学者)
松岡佳世(ベルナール・ビュフェ美術館学芸員)

B5判、224頁(予定)、ソフトカバー
日英バイリンガル、ブックデザイン:須山悠里
ISBN 978-4-904257-34-0
予価:本体3,000円(税別)

■ギャラリートーク
8月6日(土)14:15~   14日(日)11:15~   28日(日)11:15~
申し込みは不要です。当日の入館券をお持ちの上、別館2階企画展示室入り口にお集まりください。


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