ルドルフ・シュタイナーからのメッセージ

会期: 2015年7月4日(土) – 10月13日(火) 主催: ベルナール・ビュフェ美術館
  • テストキャプション

  • 第一ゲーテアヌム

2015年7月4日 (土) より、ベルナール・ビュフェ美術館では、オーストリア出身の思想家・ルドルフ・シュタイナー (1861~1925年) の世界にふれる展覧会を開催いたします。

ゲーテの研究家であり人智学の創始者である彼の思想は、教育、芸術、医学、農業、建築、経済、宇宙など、あらゆる分野にわたり、現在でも多くの影響を与えています。第一次世界大戦の影響で社会が混乱する時代に、彼の思想は社会の、そして、一人ひとりの人生の課題に応えようとするものでした。そこには、現代に生きる我々へのヒントがあるのかもしれません。
本展では、シュタイナーが講義で用いた「黒板ドローイング」と、その思想の実践である建築やデザインを紹介し、現代へのシュタイナーからのメッセージを読み解きます。

シュタイナーの思想は、目に見えるもの、物質的なものだけでなく、時間、宇宙と人間との関係、生まれる前や死後の世界など「目に見えない世界」をもふくむ包括的なものです。物質的に世界を理解することに慣れた現代の私たちにとって、そのような世界観は受け入れにくい部分もあるかもしれません。しかし、戦争、災害、環境の変化など、人間として生きることの根底が揺さぶられる今の時代、シュタイナーの思想に触れることは、私たちが見逃していたものを思い起こさせてくれるのではないでしょうか。

  • 黒板ドローイング

    シュタイナーがその生涯で行った講義は5千回以上にも及んだといいます。本展で展示する黒板ドローイングは、シュタイナーが農民や労働者、学者たちを対象に行った講義の際に、その内容を説明する目的で描かれたものです。シュタイナーの講義を隅々まで記録しようと考えた弟子たちが、黒板にあらかじめ黒い紙を貼って、描かれたドローイングを保存するようになりました。その結果、1919年から1925年までの6年間で描かれたおよそ1000点の黒板ドローイングが保存されています。本展ではその中から24点を展示します。
    黒板ドローイングは、シュタイナーの世界観を示したものである一方、その生き生きとした描写は、ドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスらによって、芸術的観点からも“思考するアート”として注目されています。

    板絵を用いて講義をするルドルフ・シュタイナー
  • 建築とデザイン

    シュタイナーの思想は建築にも表れています。シュタイナーが人智学協会(普遍アントロポゾフィー協会)の活動拠点として内装、外観のデザインを行ったのが「第一ゲーテアヌム」。劇場をもつ巨大な木造建築で、1908年にその計画が始まり、1922年に完成しましたが、同年に焼失してしまった幻の建物です。本展では、「第一ゲーテアヌム」をドキュメント写真や模型、シュタイナーによるガラス窓のための習作ドローイングなどで紹介します。
    第一ゲーテアヌムの焼失後、シュタイナーは「第二ゲーテアヌム」の外観デザインを行いました。着工した1925年にシュタイナーは亡くなっていますが、その後完成し、現在も人智学協会の研究・集会の場として使用されています。本展では、写真家鈴木理策氏による写真作品や、本展のために撮り下ろした映像(ワタリウム美術館による)などにより第二ゲーテアヌムをご覧いただけます。 その他、シュタイナー自身がデザインし現在も使用されている家具やランプ、それらのかたちの原点を見ることができる装飾品など、さまざまなアイテムを展示し、思想から日常まで広がるシュタイナー思想の実践例を紹介します。

    第一ゲーテアヌム
  • シュタイナー教育

    1919年、シュタイナーは、ドイツのヴァルドルフ・アストリア煙草工場の労働者の子弟のための学校づくりに関わりました。この最初の学校の名前に由来して、シュタイナーの思想に基づいた教育を行う学校はヴァルドルフ学校とよばれます。その後、ヴァルドルフ学校は世界中で増え、その教育思想は、日本でも「シュタイナー教育」として知られています。7年の周期で子どもの発達をとらえ、自分で考え、感じ、行動できる人を育てるその教育は、「自由への教育」といわれています。また、その教育において、芸術は欠かせない要素となっています。
    ベルナール・ビュフェ美術館では、こどもの発達を考えて環境を整え、こどもが美術と出会うきっかけとなるような活動をしています。本展に関連して、教育の観点からシュタイナーの思想に触れる講演会やワークショップの機会を提供します。

関連イベント

主催: ベルナール・ビュフェ美術館
企画:ワタリウム美術館、ベルナール・ビュフェ美術館
出品協力:シュタイナー遺産管理協会
後援:長泉町教育委員会、静岡県教育委員会、静岡新聞社・静岡放送