IZU PHOTO MUSEUM
Photo © Hiroshi Sugimoto

伊豆の山々を望む富士山麓に位置するクレマチスの丘は、ベルナール・ビュフェ美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館、井上靖文学館をはじめ、庭園、レストランなどが一体となった複合文化施設です。IZU PHOTO MUSEUMの設計(内装・坪庭)は現代美術作家、杉本博司氏によるものです。19世紀以降変容してきた写真・映像をとりまく状況や歴史を検証・提示しながら、企画展を中心とし、人間の生と表現芸術の世界を享受する美術館の実現を目指します。

名称
IZU PHOTO MUSEUM
*英文表記を正式表記といたします。
運営の方針
自主企画展を中心に、国内外の美術館・団体・個人・周辺の文化施設とのネットワークも重視し、シンポジウムやワークショップなどのイベントを通して開かれた美術館を目指します。
開館日
2009年10月26日(月)
IZU PHOTO MUSEUM
美術館 前庭
Photo © Hiroshi Sugimoto

−(略)私は自然石の平積みによる石垣を作ろうと思っていたのだが、大きな石を並べ替えるうちにその姿は次第に古墳の石室のような姿になっていった。組み上げてみるとちょうど人一人が横たわるのに充分な広さだ。そして床石、天井石、壁石と、殆ど人の手を加えずに、石と石とはお互いを支えあって、まるで今発掘されたばかりの古墳の石室のような姿で自ずから現れてきた。私はこの現場を私が指図しているのか、それとも石によって私が指図されているのか、判断がつかなかった。この場所はちょうど富士山の裾野部分に位置している。私はこの土地にいつ頃から人が住み始めたのかを調べてみることにした。すると近辺には縄文時代の遺跡をはじめとして、古墳時代の古墳が散在していることが判明した。多くは農地開発で取り壊されてしまったが記録のあるものもある。そのうちの一つ、原分古墳は神社の境内にあった為に保全されていた。おそらく古墳を神の依代として土地の人々が崇め、やがてその地に神社が建てられたのであろう。私は現場から数キロしか離れていないこの古墳を訪ねてみた。そして私が試みようとしている、もしかして完成の暁には現代美術と呼ばれてしまうかもしれない私の石組みが、すでにお手本としてそこにあることを知って、不思議な思いに捕われた。(略)—

「作庭記」『杉本博司 光の自然』より

IZU PHOTO MUSEUM
展示室
Photo © Hiroshi Sugimoto
施設構成
展示室、ミュージアムショップ、外部併設:坪庭2カ所
展示室数
3室
階数
地上1階
面積
延床面積:499m2(151坪)
展示室面積
計328m2(99坪)
工期
2008年10月~2009年10月
設計
新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)
所在地
〒411-0931 静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1