ビュフェのパリ  カフェと映画と音楽と

会期: 2024年4月6日(土)~11月24日(日) 主催: ベルナール・ビュフェ美術館 別館企画展示室

≪パリ風景≫ 左からサクレ=クール教会堂、サン=ジャックの塔、エッフェル塔、ムーラン・ド・ラ・ギャレット 1967年 リトグラフ

—戦争から解放された私たちは、見て、聞いて、読むことに憧れ、夢中でした。目の前に差しだされる何もかもすべてに、私たちはむさぼりついていました—  ―ビュフェの義姉シモーヌの手記より

ベルナール・ビュフェが20歳の若さで画家として注目を浴びたのは1948年。第二次世界大戦のあとのフランス、人々がナチス占領下の抑圧から解き放たれ、長く渇望していたあらゆる文化を楽しみ始めた時代でした。さまざまな分野の文化人たちはカフェに集い議論をかわし、若者たちはカミュやサルトルの思想に熱狂し、新しいファッションを生み出し、ジュリエット・グレコが歌い、マイルス・デイヴィスはクールなジャズを奏で、ブリジット・バルドーがスクリーンを賑わせる…ビュフェはまさにそんな時代を生きた画家だったのです。

≪ポワン・ドゥ・ジュール≫アルバム・パリより 1962年 リトグラフ

≪サン=マルタン運河≫ 1989年 油彩

本展では、ビュフェが画家人生でいくども描いたパリ風景の作品を中心に、フジタやユトリロ、グリューベルら、ビュフェ以前の画家たちの描いたパリ、サン=ジェルマン=デ=プレ界隈を舞台に新しい文化を生み出した、時代を代表する文化人たちのポートレート、そしてジェラール・フィリップやジャンヌ・モロー、ジャン=ポール・ベルモンド、ブリジット・バルドーらの活躍した当時の映画ポスターや資料なども展示します。ビュフェの愛妻アナベルも、ビュフェと出会う前からモデルや歌手として活躍し、サン=ジェルマン=デ=プレを特別な場所にしていた女神(ミューズ)のひとりでした。会場のBGMでは、アナベルの、そしてアナベルとも親しかったジュリエット・グレコの歌声や当時のジャズも流れます。

≪サン=ジェルマン=デ=プレ≫ 1971年 油彩

≪アナベルの肖像≫ 1959年 デッサン

映画「突然炎のごとく」ポスター 1962年公開 クリスチャン・ブルータン作 @Christian Broutin / SAIF, Paris & JASPAR, Tokyo/2024 C4547

画家としてデビューするために制作に勤しんでいた10代後半のビュフェは、当時パリで広まっていた「シネクラブ」で、友人や兄夫妻とともに映画を楽しんでいたといいます。ビュフェの人気が高まっていたころは、「ヌーヴェルヴァーグ(新しい波)」が現れ、フランス映画界が次々と意欲的な傑作を生み出しはじめた、まさにその時代でした。ビュフェは、彼の人気がピークにあった1958年、第11回カンヌ映画祭の審査員として招かれてもいます。1950年代後半からその後のフランス映画のポスターで、当時の雰囲気をお楽しみください。

さあ、ビュフェの作品にみちびかれて、「あのころのパリ」へ。

 

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