イベント
佐藤光さん チェロコンサート
「森―いのちのかたち」展関連イベントとして、チェロのコンサートを開催します。
木からつくられる楽器、チェロ。その音色は森の声ともいえるでしょう。クラッシックのコンサートは初めて、という方も、ぜひこの機会に「木の楽器」としてのチェロの音色を楽しんでみませんか。
自身もチェロ奏者であり、著書に絵本『チェロの木』もある絵本作家・いせひでこさんから、コンサートに寄せてメッセージが届きました。
いせひでこ『チェロの木』(偕成社 2013)より
チェロの兄弟 いせひでこ
北海道から東京に転居してきた13歳の夏、初めて出会ったチェロ。
師は、パブロ・カザルスに師事された初めての日本人チェリスト、佐藤良雄先生だった。
奏法だけではなく、けして叱らない、いいところを褒める、くり返し弾いて気づかせる、レッスンは、生涯「平和のために」弓を持つことを貫いた、カザルスの教えそのものだった。
先生のご自宅でのレッスン、私が「キラキラ星」を学ぶその横で、三男の光さんは、もうバッハの無伴奏をベラベラ弾いていた。(11歳だった)
カザルスの子どもとして、私は佐藤家の兄弟のように育てられた。
でも、私は18歳で芸大の絵の方に進み、チェロをやめてしまった。
2年後、芸大の音楽学部に光さんが入ってきて、あっというまに芸大を卒業、渡仏すると、パリ管の初の日本人チェリストとして活躍されるようになった。
絵本の仕事をしながら、好きなチェロを独学でつづけていた私は、ある日気づいた。
自分の感受性も想像力も、実は少女時代のチェロで育てられていたと。
リュックを背負ってひとり、カザルスの亡命の地カタロニアへ向かった。
36歳__、私は再び佐藤家の門をたたいた。
現在の師は、光さんの弟で、佐藤家四男の満先生だ。(出会ったときは8歳だった!)
故良雄先生の音楽と精神を子どもたちに伝える教え方は、やはりカザルスそのものだった。
絵本『チェロの木』のラストで、主人公の少年は大人になって、チェロを教える道を選ぶ。
それは、佐藤先生ご一家との長い交流の歴史の中から、生まれるべくして生まれたチェロの物語だと、しみじみ思う。
そして9月、ビュフェ美術館では、光さんのチェロが響き渡る…。
【コンサートご案内】
チェロ 佐藤光(さとう ひかる)
ピアノ スザナ・バルタル(Suzana Bartal)
演奏予定曲目:
ベートーヴェン 魔笛の主題による7つの変奏曲
シューマン アダージオとアレグロ
フォーレ チェロソナタ第2番
ショパン チェロソナタ
お電話でお申込みください。
チケット代金をお振込いただいた後、チケットをお送りします。
お申込み時に振込先などのご案内をいたします。
定員:200名 全席自由 要予約(ベルナール・ビュフェ美術館 055-986-1300まで)
料金:3500円/中学生以下2000円
(コンサートチケットで当日ベルナール・ビュフェ美術館にご入館いただけます)
プロフィール
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佐藤光(さとう ひかる)
東京生まれ。5歳の時から、日本で最初のカザルスの弟子となった父・佐藤良雄にチェロの手ほどきを受ける。1973年渡仏。1979年、名門パリ管弦楽団に初めての日本人として入団し、現在に至る。パリ弦楽四重奏団創立メンバー。
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スザナ・バルタル(Suzana Bartal)
ルーマニア・ティミショアラ生まれ。早くから才能を開花させ、各国のコンクールでも優秀な成績をおさめる期待の若手ピアニスト。2016年春には初のアルバム「Suzana Bartal plays Schumann」をリリース。各国て好評を得ている。