展覧会
過去の企画展
森―いのちのかたち
いせひでこ/鈴木まもる/杉山明博
ベルナール・ビュフェ美術館のまわりはたくさんの木々であふれています。当館はこれまで、「親子で遊ぶ-『木とのふれあいワールド』展」(2000年)や、「木のものがたり」展(2013年)など、木をテーマにした企画展を開催してきました。木をテーマにしながら見えてきたことは、木と人とのかかわり、そして、森が育むいのちです。本展では、木の、そして木々と共に生きる「いのち」をみつめ、その「かたち」を表現する、3人の作家の作品をご覧いただきます。それらの作品は、我々自身がどう生きるかについても問いかけてくることでしょう。
作家紹介
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いせひでこ
1949年北海道札幌市生まれ 画家・絵本作家
絵本作家・いせひでこは 「木が好き、根が好き。歩くと木ばかり見ている」と自身が言うように、その作品の多くに木が登場します。本の職人を描いた代表作『ルリユールおじさん』でも、樹齢400年のアカシアの大木が、その物語を支える背景として重要な役割を果たしています。2011年の東日本大震災をきっかけに生まれた『木のあかちゃんズ』では、子どもたちの未来を「木の種-木の赤ちゃん」に託して描き、「未完の物語」では、津波の後の荒野に横たわっていた一本のクロマツのいのちに寄り添い、木といのちをみつめた作品を多く発表しています。 -
鈴木まもる
1952年東京生まれ 画家・絵本作家・鳥の巣研究家
絵本作家・鈴木まもるは、世界各国で鳥の巣を収集し、鳥の巣に関する絵本、著書も数多く発表しています。鳥の巣は鳥の「家」ではなく、卵を産み、子育てのときにつくる「新しい命を守るかたち」です。「ちいさないのちが育つところ」という意味で、鳥の巣は自身の絵本の仕事と同じだと作家は言います。絵本を通して描きたい多様な表現の世界は、鳥の巣の多様な形と共通している、と言う作家の絵本原画と鳥の巣をあわせてご覧いただきます。 -
杉山明博
1942年静岡県函南町生まれ 造形家
造形作家・杉山明博は、木を素材とした作品づくりの中で、子どもたちの学び、育ちを常に考えています。遊びと学びの一体化を重視し、木に触れ、遊び、考えることから、感性、発想力が育まれると、体験型の作品も多く発表しており、ビュフェこども美術館の「触のひきだし」は、長く子どもたちに親しまれています。木の特性を知り尽くした作家の手によって新たないのちを吹き込まれた木々が、かたちを変えてまた、子どもたちのいのちを育んでいきます。