ロベール・ドアノーと時代の肖像 -喜びは永遠に残る

会期: 2016年9月15日(木)― 2017年1月17日(火) 主催: ベルナール・ビュフェ美術館
  • La baiser de l'Hotel de Ville, Paris, 1950

日常の小さなドラマを絶妙にとらえ、「イメージの釣り人」と評されるフランスの国民的写真家、ロベール・ドアノー(1912-1994)。ドアノーがとらえた、パリの恋人たちや子どもたちの豊かな表情、ユーモアや風刺の効いた街頭の一場面など、人間に対する無限の愛情と好奇心に満ちた写真は、時代を超えて世界中で愛され続けています。
写真家ロベール・ドアノーを語る上で欠かせない分野、それが「ポートレイト」です。鋭い洞察力と観察眼に裏打ちされたドアノーによる芸術家のポートレイト群は、ドアノー自身の「見る喜び」を見事に体現したものでもあります。
本展では、同時代を代表する人々を写したポートレイトを中心に、精選されたドアノーの代表作など、未発表作品を含む約140点を一堂に展示します。ロベール・ドアノーのまなざしを通して提示される同時代人たちの肖像は、写真の本質でもある「見る喜び」とともに、あらためて創造の喜びを私たちに伝えてくれるに違いありません。

作家紹介

  • ロベール・ドアノー Robert Doisneau

    1912年パリ郊外のジャンティイに生まれる。エコール・エスティエンヌで石版を学び、写真家アンドレ・ヴィニョーの助手となる。その後、自動車会社ルノーのカメラマンなどを経て、フリーとして活動を開始。『ヴォーグ』誌や『ライフ』誌でファッション写真を始めとして多くの写真を発表、国際的に注目される。特にパリや、パリ郊外で暮らす庶民たちの日常をとらえたヒューマニズムあふれるルポルタージュ写真で高い評価を得、フランスを代表する写真家として世界中で親しまれている。

  • ドアノーが手がけた“時代の肖像”

    本展では、画家、彫刻家はもとより、パリが「芸術の都」であった時代に活躍した作家、思想家、舞踊家、美術批評家、デザイナーなどあらゆる分野の「時代の肖像」約70点を展示。未公開作品を含むこれらのポートレイトを通して、当時の文化的背景を探ると同時に、ドアノーによる写真表現の真髄を紹介します。

  • ドアノー写真を代表する  名作たち

    生涯を通じて約45万点にも及ぶ写真を撮影したドアノーの作品は、現在、遺族が設立したアトリエ・ロベール・ドアノーで管理されています。本展では、アトリエ・ロベール・ドアノーが膨大な作品から精選した代表作30点を展示。写真史にドアノーの名を刻ませた珠玉の名作から、ポートレイトの名手ドアノーの制作背景に迫ります。

    • La baiser de l'Hotel de Ville, Paris, 1950
  • もうひとつのポートレート、ジオノへのオマージュ

    パリ郊外で生まれ育ち灰色の青春時代を送ったドアノーにとって、小説家ジャン・ジオノがプロヴァンスの自然の中で描き出す人間たちのドラマは常に憧憬の対象でした。1958年に撮影された一人の羊飼いを追ったルポルタージュ『ある羊飼いの物語』は、ジオノへのオマージュともいえる作品です。生前、ジオノとの邂逅がついにかなわなかったドアノーにとって、この羊飼いの物語はジオノのポートレイトでもあるのかもしれません。ベルナール・ビュフェもまた、ジオノ著『純粋の探究』に深く共鳴し、ジオノの肖像画を描きました。本展では、二人の若い作家たちの人生と制作に多大な示唆を与えたジオノの肖像として、このシリーズを展示します。

関連イベント

企画協力 コンタクト
協力 アトリエ・ロベール・ドアノー
All photos © Atelier Robert Doisneau / Contact